糖尿病について
糖尿病とは
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの働きが低下し、血糖値が慢性的に上昇する病気です。成人の約4人に1人が糖尿病または予備軍です。自覚症状が乏しく、発見が遅れると深刻な合併症を引き起こします。症状が起きることには進行していることが多く、早期発見と適切な管理で症状なく生涯を全うすることが重要です。
進行すると現れる症状
のどの渇き、多尿、視力低下、皮膚のかゆみ、慢性疲労、体重減少など
糖尿病の種類
糖尿病という名前では括られているものの、その内容は多岐に渡ります。国内での大きな分類としては下記のようになります。
1.1型糖尿病
- インスリンが絶対的に不足する状態。
- 免疫異常で膵臓のインスリン分泌細胞が破壊されます。
- 数日〜数年かけて発症する病態がありますが、どの病態においてもインスリンの補充が基本となります。
2.2型糖尿病
- インスリンの分泌や効果が相対的に不足する状態。
- 日本では糖尿病患者の約90%が2型です。
- 遺伝要因や生活習慣が原因となることが多いです。
- 病態に合わせた薬剤(内服/インスリン)や生活の指導などを基本に治療を行います。
3.その他の特定の機序によるもの
- 薬剤や癌、内分泌疾患などが原因となるもの。
- 原因の除去で改善するものもあれば、半永久的に続くものもあります。病態に応じて薬剤(内服/インスリン)を調整します。
4.妊娠糖尿病
- 妊娠中に発見または発症する糖代謝異常。
- 何かしらの代謝異常の前兆とも考えられており、産後のフォローも重要とされています。
- 胎児への影響を考え食事療法とインスリン治療が基本となります。
糖尿病の合併症
糖尿病は全身の血管へのダメージを来す病気で、小さな血管から大きな血管までその合併症は多岐に渡ります。脳や心臓など、大きな血管は血圧・脂質など包括的な管理が重要です。下記の合併症に関する小さな血管は糖尿病特有であり、血糖管理がより重要とされます。
1.神経障害
- 便秘や立ちくらみ、こむら返りのような糖尿病でなくとも起こりうる症状一見他のことでの症状のことから始まります。酷くなるとしびれ、痛みになり生活への支障が出ることも珍しくありません。
- 痛みに鈍感になり、足壊疽や心臓の痛みに気づかないことがあります。
2.網膜症
- 初期には症状がないことが多いですが、糖尿病予備軍の段階から進行しており注意が必要です。
- 年に3000人が失明になっており、将来の生活の質の維持のためにも定期的な眼科受診が推奨されます。
3.腎症
- 初期は症状もなく、尿蛋白の出現程度だったりします。
- 進行し、腎機能が低下してくると電解質の異常やむくみ、心臓への負担など全身への影響がでてきます。
- 腎臓の機能が破綻してからの進行は早く、透析予防などの観点から早めの予防治療が重要となります。
治療
上記合併症の予防をしっかり行う事で糖尿病は正常の方と同様の将来が過ごせることがわかっています。そのためにも早期の治療が重要です。自覚症状がないうちに気がつくことは難しく、健診や人間ドックを利用して早期発見に努めることが大切です。またその結果で予備軍とされた方は、経過をみるのではなく、一度は食後の高血糖が隠れている可能性など診察を行うことをお勧めいたします。
検査
血液・尿検査を行い、血糖値やHbA1c、尿蛋白などをチェックします。インスリン分泌の確認も可能です。これらの検査は基本院内で当日結果をお話しております。
栄養指導
管理栄養士による具体的な相談が有効です。当院ではオンライン栄養指導を行っています。クリニック、自宅などニーズに合わせて場所と時間をお選びいただけます。
定期検診の重要性
再三になりますが、糖尿病は定期的な血液検査で早期発見が可能です。年に一度の定期検診を活用し、自身の健康状態を確認しましょう。眼科で異常が指摘された場合は、内科での詳しい検査が必要です。近年、糖尿病の治療法は進化しており、将来の合併症リスクを減らす薬剤なども増えております。管理目標や治療方針も更新されていおり、異常が指摘されている場合や自分の目標など気になる症状がある場合は受診していただけましたら幸いです。